大人の女性から寄せられた声に応えたスズキ・ラパン モードの開発エンジニアにインタビュー

ライバルがコンセプトを変えたことで指名買いが増えた

 女性をメインターゲットにしたレトロモダンな軽乗用車「アルトラパン」に、大人らしく落ち着いた印象の特別仕様車「モード」が設定され、12月6日に発売された。その狙いについて、アシスタントチーフエンジニアの渡邉 司(わたなべ・つかさ)さんに聞いた。

──2015年6月に現行3代目アルトラパンが発売されて以降、こういった女性向けのセダン型軽乗用車は、市場環境が大きく変化したと思いますが、直近の販売動向はどのように推移していますか?

渡邉:新型は発売された直後をピークとして、徐々に減っているというのが実態です。これをどう防ぐかは、どんなモデルでも課題になるのですが、ラパンはその落ち方が緩やかな方です。

──他社のモデルがキャラクターを大きく変化させましたが……。

渡邉:それが良い所であって、ダイハツさんの「ミラジーノ」から「ミラココア」に至るまで、ラパンとガチンコで勝負するような状態でした。それが「ミラトコット」となり、直接の競合ではなくなってくれたおかげで、ラパンの方に来てくれるお客さまが増えています。ダイハツさんは「ミラトコット」や「ムーヴキャンバス」といったモデルをラパンの外側に配置し勝負してきているので、それほど影響はない、というのが実態ですね。

──そうしたダイハツさんの戦略が、ラパンにとってはプラスに働いているのでしょうか?

渡邉:販売台数の落ち方が緩やかなのは、ラパン自身の力と同時に、ダイハツさんの「ミラココア」がなくなったことでラパンに来てくれるようになったこと、ふたつの要因があると思っています。もっとミニバンやハイト系にお客さまが流れて、セダン系がなくなってしまうかと予測していたのですが、意外にそんなことはなく、絶対量は少ないものの落ち方は緩やかなので、きちんとビジネスが成立する程度には売れ続けています。

──依然としてラパンのような直球の可愛いクルマに対する女性ユーザーのニーズは手堅くあるということでしょうか?

渡邉:変わっていませんね。しかも競合車がなくなったので指名買いが多くなり、売る方からすればラパンは買いに来ていただけるクルマになりましたね。販売の現場からは「商談が楽になった」との声もいただいています。

──それは、値引き合戦せずに済むようになって、良いことずくめですね。

渡邉:値引き合戦になると、商談に時間がかかりますよね。販売現場にとっては早く売れた方が助かるので、そういった意味でもラパンは魅力的な商品と言えます。

落ち着いた大人の女性をイメージして開発した

──今回の「モード」は、現状は20〜30代の女性が中心というユーザー構成を、もう少し上の世代にも広げたいという狙いから企画されたものなのでしょうか?

渡邉:それだけではありませんが、女性ユーザーにもいろんな方がおり、若い女性の中にも「これじゃない」という方がいらっしゃいます。いまだに先代以前のラパンを探す方もいて、既存ユーザーの中にも「私の欲しいラパンはこれじゃない」という方がいらっしゃるんですね。

 以前のラパンを所有している方でも「子育てが終わった今買うならちょっと違う」というように、女性の中でも好みが違う方が、どの地方にも少しはいます。その「少し」が集まると結構な人数になるだろうということで、今回の特別仕様車「モード」が企画されました。

──既存のラパンユーザーから「これじゃない」という声が上がっているということですが、その結果他車に逃げられたということはないんでしょうか?

渡邉:他車に逃げず、かつ新型ラパンに代替していないお客さまがいらっしゃるんですね。軽乗用車の平均車齢は9年くらいなんですが、軽自動車のモデルライフではまだ新型に代替していないお客さまもいます。あるいは、私の娘もそうなんですが、「初代がいい」というお客さまもいまして、私の娘は九州で中古車を購入しました(笑)。

 初代は幅広くいろいろなテイストを展開しましたが、2代目では王道がどこにあるのかを見極めて、3代目ではど真ん中を突いてきましたが、初代がカバーした真ん中ではない所にもお客さまがいます。初代のそういう所が好きだったお客さまは、「真ん中ではなく周辺のモデルも欲しいんだけどね」というニーズが、根強く残っているという印象ですね。

 その中でももっともニーズが強かったのが「もうちょっと落ち着いたラパンはないの?」というものだったので、そこを目指して作ってきました。

──そうして誕生した「モード」は、内外装のイメージカラーをネイビーにしていますが、その狙いは?

渡邉:「大人かわいい」というコンセプトを掲げたとき、カタログモデルはベージュの明るくかわいい雰囲気の内装なので、それを黒内装にすると男っぽくなり、変化も大きすぎるので、それはラパンではないと。そしてラパンは女性向けのクルマなので、「男向けはやってほしくない」という声が結構根強いんですね。

 というわけで、女性が好きなものを考えたのですが、ネイビーにベージュは洋服でもトラディショナルな鉄板の組み合わせで、女性の中でも落ち着いた大人の雰囲気が出せるということで、まずインテリアのイメージができあがりました。それから外観も、ノクターンブルーパールと組み合わせると、内外装がピッタリになる、というのが「モード」のコアイメージですね。

──外装も、ノクターンブルーパールとホワイトの組み合わせが、イメージカラーということですよね。

渡邉:はい。この組み合わせが、今回の特別仕様車にピッタリだと思っています。エンブレムのアクセントカラーもそれに合わせるように、ブルーの差し色を入れています。これは、インテリアは全車ネイビーとベージュの組み合わせなので、他の外装色を選んでも内外装が青のコンビになるようにした、という狙いもあります。

──シートも独自の仕様になっていますね。

 渡邉:はい、ネイビーのスエード調ファブリックとベージュのファブリックとの組み合わせですね。

──キルティングの模様は型押し成形ですか?

渡邉:そうですね、エンボス加工です。スエードとエンボスは初代のラパンから採用していますが、タッチが良く見た目も変わった雰囲気になりますね。

──これは初代ラパンモードから継承されたものなのですか?

渡邉:初代ラパンモードはもう少し毛足の長いラッセルでした。

──ヘリンボーンの木目調は非常に珍しいですよね。

渡邉:はい、非常に珍しいと思いますね。初代ラパンは水転フィルムという手法で木目調を表現していたのですが、現行ラパンはフィルムインサートなんですね。ですので柄が曲がらなくなりました。ヘリンボーンのようにカチッとした柄は、この技術でなければ表現できないんですね。ですからこれは、ラパンならではの柄だと思います。

──こういった柄は、手作りのアコースティックギターなどで見られますよね。

渡邉:あとは、箱根の寄木細工ですね。手の込んだ印象が日本ではありますので、キルティングと合わせ、トラッドかつ精緻なイメージを持たせています。

──シートにはパイピングも入れられていますね。

渡邉:このパイピングも、じつは二重なんですよ。通常の玉縁を一本回すだけではなく、柄の入ったベージュと、今回のネイビーを入れており、パイピングとしては手の込んだ仕立てになっています。これを前後シートに採用し、キルティングのネイビーと合わせて、インテリア全体の雰囲気を締めています。

──今後もラパンに関しては、女性向けど真ん中という方向性でブレずに続けていきたいというお考えですか?

渡邉:「モード」以前にも2台の特別仕様車を展開していますが、ラパン本来の女性向けというコアは外さずに、いろいろな女性がいるということを考え、女性視点で好まれるラパンを、いろいろな女性にスポットを当てて検討していきたいと思います。

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